夫は心の中の「真の妻」だけを想い、私はただの介護要員だったようなので、その真の妻に全てを報告してとっとと逃げた。
ある日夫がよっ払って、
「おまえなんかと結婚するつもりなかった、俺には心が結びついた真の妻がいる」
そんなこと言われた。
よってるうちに色々聞き出し、よいが覚めてからも問い詰めた。
逆ギレされた。
あのひと(真の妻)とは相思相愛、心が繋がってる。
いずれお互い独り身になったらあのひとと結婚する。
おまえは一人寂しく泣いてろ」
そんなふうに罵られた。
何度もよって何度も聞き出して何度も録音してたし、この罵詈雑言も当然録音していた。
「なら子供もまだいないしさっさと離婚しましょ?」
そう言ったら慌てだした。
「おまえにそんな権利ない」
とか訳分からないこと言った挙句、夜も遅いのに外に逃げ出す始末。
それで
「何をしでかすか分からないから」
という体裁で夫の真の妻に連絡をとった(よってる時にスマホのアドレス帳で連絡先を確認してた)。
んで
「夜分遅く済みません」
と謝りつつ、
「夫がコレコレこう言ってる、妄想だろうがそちらに押しかけるかも知れない、気をつけてください」
一部録音を聞かせつつ、そう言って電話を切った。
ちなみに真の妻はお堅い旦那持ち、こんな電話があったらどう対応するかだいたい分かってた。
(真の妻はたぶん夫のことをなんとも思ってないんじゃないか)
って思ってたし(事実そうだった)。
私は何度も何度も何度もよっ払いが私をどう思ってるのか聞いてたし、だからとっくに逃げ出す準備もできてた。
なので、一応そのあたりに夫が潜んでないか確認して家(賃貸)を出た。
要介護の老人(夫の母)もいたけど、毎日毎日旦那の叔母が勝手に鍵開けて顔を出すから心配なかった。
その叔母は茶飲んで仕事の愚痴と私への文句を言いつつタダ飯食らって帰るだけだけど。
よっぱらいがサインした離婚届も出してせいせい。
係累いないし結婚して専業になってたから身軽身軽。
その後、夫というか元夫は、
恨み言(「よくも真の妻を巻き込んだな、お前のせいで彼女が冷たい」)と、
哀願(「戻ってきてください、僕だけじゃ母の面倒を見れない、母も会いたがってる」)と、
愚痴(「叔母は君が出て行った日から顔を出さない、真の妻は仮初の旦那に操られてる」etc)と、
交互にメールしてきてた。
一切返信はしなかったが、真の妻関連はプリントアウトして真の妻宛てに送った。
そのうちメールはパタっと止んだ。
数日して真の妻の旦那さんから、
「(元夫)に色々と法律上の警告・制約を与えたうえで(元夫)の会社(お堅い真妻旦那職場の下請け的なとこ)に圧力をかけて僻地のさらに子会社に飛ばさせた」
と連絡があった。
元夫の母親の介護については配慮する条件もあったせいか、蹴って退職もできず異動に応じたらしい。
なお介護の手当は厚いが手取りは薄給とか(よくわからん)。
それを聞いてメールアカウントは削除した。
その会社にいた見る目のない私が引っかかって、体のいい介護要員として結婚に至ったんだ。
でもね、正直、どんな過去でも少ない給料でもしんどい介護でも愛情があるなら全然構わなかったんだよ。
私は私なりに愛してたから結婚したんだ。
でも向こうに愛情が無かったんじゃ、結婚続けることに何の意味も見いだせなかった。
騙されたことは悲しかっただけだけど、私がコロッと騙されるくらいバカだったことが悔しくて、
(復讐しよう)
って思ってしまった。
真妻旦那さんからは
「いろいろ知らせてくれてありがとう」
とお礼を言われたけど、そんな見る目の無かったバカの自業自得的復讐に真妻夫婦巻き込んじゃった、というか利用しちゃったのだけは後悔してる。